マダム野武士の南仏生活

南仏からつれづれなるままに。

冬のバーゲン Soldes en hiver

フランスでは年に2回(夏と冬)にバーゲンセールの期間が設けられています。日程はフランス政府が設定するのですが、毎年夏・冬にそれぞれ大体4週間ほどセールをしています。

 

今年の冬のバーゲンが先週の水曜日に始まり、今週末はバーゲンでお得な商品を買いに来る人で街中はごった返していました。昨年からのインフレの影響で今年は例年に比べて、買い物客が減るかなと予想していたのですが、それでもデパートに入れば人・人・人、街中も人・人・犬で大変混雑していました。(フランスでは交通機関やお店も犬と一緒に入れるので、犬と常に一緒に行動している人が日本よりも多いと思います。)

 

お店ではクリスマスに売れ残った在庫を一斉処分するために、半額、もしくはそれ以上の割引率で商品が売られています。こちらではクリスマスプレゼントは子供に贈るだけでなく、家族の中で大人同士も交換するので、毎年12月になると親族一同分のプレゼントを用意するために毎週末買い物に出掛ける人が多いです。

 

そして、相手からプレゼントをもらう時にその商品を買った際のレシートを一緒にもらうことがあります。プレゼントが気に入らなければ返品して違う物をその店で買ってという計らいだそうです。初めてプレゼントと一緒にレシートをもらった時は、衝撃でしたが、たしかに自分にとってあまり必要ないものをもらうよりも自分で好きなものを買った方が良いのかと、最近は腑に落ちるようになりました。ただ、それだったら日本のお年玉ご祝儀みたいにお金を渡すので良いんじゃないかとも思うのですが、それはやはりプレゼントとは言えないのでしょうか...?そもそも大人同士のプレゼント交換は必要なのでしょうか...?

 

なんて、色々なことを考えながら店頭に積み上げられた大量のクリスマス商品を見て、また来年もプレゼント集めに奔走するのかと、来たる12月が楽しみでもあり、恐ろしくもあり、新年の余韻に浸る間もなく、1月が半分過ぎた今日この頃です。

 

 

 

視力検査とアルファベット L'examen de la vision chez l'ophtalmologue

私は小学校高学年の頃から近視のため眼鏡を使用しているのですが、直近で眼鏡を作り直したのが6年前とずいぶん昔のことになってしまい、毎日かけている眼鏡のレンズが傷だらけでさすがに見づらい...ということでフランスで眼鏡を新調するべく、眼科に行って来ました。

 

フランスでは、普段病気になった時にはまずかかりつけ医の診療を受け、医師が専門医での診察が必要と判断すれば診断書を書いてくださるので、その診断書をもって専門医の診察の予約をして病院に行くという流れになります。しかし、視力検査のために眼科に行く際にはかかりつけ医を通さずに、直接眼科に予約をとることが可能です。

 

とは言うものの、眼科や歯科はなかなか予約が取れず、1・2か月待ちが当たり前になっています。かく言う私も1か月半後の日付でようやく予約が取れ、眼科に行って来ました。

 

眼科での視力検査でまず驚いたのが、視力検査の方法です。日本だと、銀色の淵の重たい眼鏡をかけて、そこにレンズを足していきながら壁にかかっているチャートを見ながら視力検査をする、あるいは顕微鏡のような機械をのぞき込んでレンズ越しに見える「C」の穴の開いている方向を伝えるという検査方法が主流かと思いますが、フランスでは目の前にオペラグラスのような小さなレンズが2つ現れて、そのレンズを通して向こう側の壁に映し出されたアルファベットを横1行ずつ読んでいくというスタイルでした。(1行に5文字ほどアルファベットが書かれており、左から右に全部音読してと言われました。)

 

そこで、私を悩ませたのががアルファベットの読み方です!フランス語を適当に勉強していた私はいまだにフランス語でのアルファベットの読み方が分からず(特にが英語とごちゃごちゃになって、どちらがどちらの発音だったか急に分からなくなります。)視力検査以前の問題で、フランス語のテストを受けているかのような緊張感がありました。(笑)

とりわけ「」と「」や「」と「e 」遠目からみると似ているので、視力検査の中で頻繁に目にしたのですが、「」の発音が「ジェー」だったか「ジー」だったか、また「e 」の発音がフランス語だと「ウー」になるのですが、「u 」の発音と私に言わせれば非常ににているので、発音がしづらい...など、地獄のような視力検査でした。

 

改めてフランス語を基礎から勉強し直さないとなと思った、そんな眼科での出来事でした。(笑)

 

おばあちゃんと信号無視 Brûler un feu rouge avec une vieille dame

住んでいる地域にもよるのかもしれませんが、南仏は比較的フレンドリーな方が多い印象です。そのため、街中で信号待ちをしている時や、トラムで隣に座られた時など、見ず知らずの方から話しかけられることは日常茶飯事です。

 

先日は、信号待ちをしている時に買い物キャリーを持った一人のおばあちゃんから話しかけられました。天気の話かなと思いきや、いきなり、「あなた、今よ!試してみましょう!」と急に誘いかけられ、咄嗟の出来事に何の誘いか一瞬分からなかったのですが、赤信号を無視して横断することへの誘いでした。(笑)

 

まさか、素敵なコートにおしゃれな帽子を被った上品な出で立ちのマダムから、信号無視の誘いを受けるなんて夢にも思っていなかったので衝撃を受けましたが、車も通っていなかったので、青に変わる前に一緒に二人でとぼとぼと横断歩道の上を渡りました。

 

横断中も、「2人も歩行者がいるんだから、もし車が来ても跳ねることはないから大丈夫よ!(笑)」と心強い一言をもらい、無事に横断歩道を渡り終え、「一緒に渡ってくれてありがとう。良い一日を!」と言ってもらい、そのまま別の方向に歩いて行かれました。

 

フランスで暮らしていくってこういうことかと、おばあちゃんのいくつになっても元気でおちゃめな姿になんだかこちらが元気をもらった、そんなある日の朝でした。

 

 

 

ネット回線争奪、仁義なき戦い La lutte infinie pour l'accès à Internet

現在私たちはアパートで生活しているのですが、昨冬インターネット回線のトラブルに何度も見舞われたので、本日はそのことについて記憶を辿りながら執筆したいと思います。

 

まず、事の発端は同じアパート内に年始に新しく引っ越して来られた方がインターネット業者に回線の手続きを依頼したことに始まります。私たちのアパートは地下の駐車場の一角にネット回線に接続するケーブルがまとめられているため、どこの業者に依頼することになっても、地下でネット回線の作業が行われます。その後、部屋の中に設置するルーターに接続して回線手続きが終了します。

 

私達が引っ越してきた際もネット回線は全て業者の方に依頼していたため、地下の主配電盤(MDF)を見に行ったことはありませんでした。今から思い返すと、回線作業をしてもらった時に、一緒に地下まで降りて確認するべきでした。というのも、日本では考えられないかもしれませんが、主配電盤には部屋番号などが振り分けられていなかったので、新規で回線する場合はケーブルが繋がれていないところに繋ぐことが暗黙の了解になっていました。

 

そしてそんな杜撰な管理体制により、事件が勃発します。その新しく引っ越して来られた方がネットを回線する時には既に空いている差込口がなく、(何故だ?設計ミスか?)依頼先の業者のスタッフが断りもなく勝手に私達のケーブルを抜いて、回線作業をしてしまったのです。

 

事の成り行きを知らない私達は急にネットが使えなくなり、部屋の中に設置していたルーターにエラーの表示が出ていたので、業者に連絡をして次の日の朝イチで修理に来てもらうことになりました。翌朝、業者の方が早速来てくださり、「地下のケーブルがなぜか抜けていたから挿し直しておいたよ。」と言って、ネットを復旧して帰ってくださいました。

 

ところが、その日の午後に、またネットが急に使えなくなりました。不思議に思った主人がまた業者に再度連絡をして、翌朝見に来てくださることになりました。そして、同じタイミングでなぜか別の階の方のネットも使えなくなったと言うことを聞き、たまたま同じ業者のネット回線を使用していたので、その会社の回線の問題かということでお互い翌朝の復旧を待つことにしました。

 

そして迎えた翌朝。主人と別の階でネットが使えなくなった方と業者の方の3人で地下の主配電盤を見に行ったところ、またしても我々の2部屋のケーブルが抜かれており、別のケーブルが挿してあったそうです。それを見兼ねた業者の方が「2度あることは3度ある」ということで、勝手に挿し口を奪ったケーブルを抜き、我々2部屋のケーブルを再度挿し直し、ガムテープで挿入口を塞ぎ、その上から部屋番号をマジックで書き記してくださいました。

 

そうしてようやく我々にネット回線フリーな平和な日々が戻ってきたのです。

ネット回線争奪、仁義なき戦い、これにて一件落着です。

これがフランスの日常です。ツッコミどころが満載です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

美容院の椅子の話 Chaises dans le salon de coiffure

海外に移住してしばらく経った頃に悩みだすことの1つに美容院探しが挙げられるかと思います。同じような発音で病院探しも、また悩みの種ではありますが…

かく言う私も渡仏4ヵ月目にして、頭が重いと感じるほどに増えた髪の毛のボリューム、そして枝毛と櫛との毎朝の戦いに疲れ果て、意を決して現地の美容院に行くことにしました。

 

第一関門として美容院の予約が待ち受けていたわけですが、片言のフランス語が電話越しに伝わるか不安だったので、直接お店に行って1週間後に来店する予約をしてその日は帰宅しました。

 

そして迎えた決戦当日(笑)。まだまだ日本人の時間感覚が抜けない私は予約時間の5分前にお店に着いてしまいました。5分前に来た迷惑な客にも関わらず(こちらでは予約時間ちょうど、もしくは少し遅れていくくらいが良いように感じております。)、愛想よく迎え入れてくれた店員さん。前のお客さんのカットが早く終わったので、待ち時間もなく、すぐにシャンプー台に案内して頂きました。

 

日本だと美容院によっても異なりますが、髪の毛を洗うために歯医者の椅子のように自動で後ろに倒れたり、もともと椅子がリクライニング状態になっているかと思うのですが、私がフランスで通っている美容院は普通の椅子の角度と何ら変わりはなく、床に対して直角に座り、後ろに倒れることもなく、そのまま髪の毛だけがシャンプーのシンク内に持っていかれます。なのでシャンプーをしてもらっている間は斜め上を見た状態で髪の毛を洗ってもらうことになります。

そして、シャンプーをしている間、顔にはタオルもティッシュもかけられないので、私はひたすら目を閉じて、時が過ぎるのを待ちます。何が正解かは分かりません。

 

また初めて美容院に行ったとき、「マスクはどうする?」と聞かれ、シャンプー中はマスクは外した方が良いのかなと思い聞き返したところ、「masqueはトリートメントのことだよ。」と言われ、とても恥ずかしかったのを今でも美容院に行くたびに思い出します。こうやって人は外国語を覚えていくのですね...(笑)

 

最後に一番衝撃的だったのが、美容院で髪の毛を切ってもらう時に着用するエプロン?が日本と反対の方向だったということです。日本の美容院では割烹着のように袖を通して後ろでマジックテープ等で留めるタイプが主流だと思いますが、フランスではカーディガンに袖を通して前でボタンを留めるように、身体の前側でマジックテープを留めるタイプのものでした。もう数回美容院に行っているのですが、いまだに慣れず、いつもエプロンを着るときに「逆だよ」と言われてしまいます。

 

そんなこんなで、国が違えば、美容院も違うというのが今日のお話でした。

 

 

 

口笛を吹きながら働くフランス人 Siffler en travaillant

フランスに来てから耳から入る情報になにか変化を感じました。

そうなのです。それはやたらと口笛を聞く機会が増えたことです。

 

トラムを待っている時、マルシェで野菜を買う時、レストランで料理が運ばれてくる時、自転車で追い抜かされる時などなど。家から一歩出ると、あらゆるところから口笛が聞こえてきます。皆さん、とてもお上手で、時には感情表現も口笛で表現するほどの腕前。犬を呼ぶ以外にもこんなに口笛に使い道があったのかと感動しました。

 

口笛で一番驚いたことは、働きながら口笛を吹く人の多さです(笑)。店内でかかっているBGMに合わせて、どこからか聞こえてくるラジオで流れている曲に合わせて、あるいは好きな曲を口ずさんで…いろんな職業の人がいろいろな場所で口笛を吹きながら、あるいは歌を口ずさみながら働いている、それがフランスです。

勤務中にも関わらず不真面目な態度と言われればそれまでかもしれませんが、聞いているこちらもそこはかとなく温かい気持ちになるので、個人的にはすごく良いなと思うフランス社会の一場面を本日は共有させて頂きました。

 

 

マダムとマドモアゼルの境 Suis-je Madame ou Mademoiselle ?

フランスに移住して以降、人から名字で呼ばれる機会は圧倒的に減ったのですが、役所や病院などの公的機関では、そこはやはり名字で呼ばれます。

 

日本にいた時は男女問わず、〇〇さん、もしくは〇〇様という敬称を使用するので性別や年齢を気にすることは全くなかったのですが、こちらに来てからある時はマダム、ある時はマドモアゼルと呼ばれ、呼ばれる度に自分の立ち位置を考えさせられます。

 

というのも、一般的には結婚していれば基本的にマダムという敬称になるので、書類上はマダムなのですが、果たして私はマダムという敬称がふさわしい、大人な女性になりきれいているのか、呼ばれる度に少し恥ずかしく感じます。どうも自分の中で「マダム=夫人」と脳内変換されるのが引っ掛かりを生んでいるように思います。

 

一方で、ムシュー・マダム・マドモアゼルは名前を知らない相手に対して呼びかける時にも使うのですが、アジア人の顔は幼く見えるのか、年上の方からはマドモアゼルと呼ばれることが多いです。日本にいた時はふてぶてしい態度からなのか、一度も実年齢より若い年齢を言ってもらったことがなかったので、その点はありがたく嬉しく受け止めています(笑)。

一説には「あなたは若く見えるよ」という配慮を込めて、あえてマドモアゼルと呼ぶムシュー達も多いようで、男性陣もなにかと気配りが大変そうだなと他人事のように思う時もあります。

 

余談ですが、ムシュー・マダム・マドモアゼルには複数形も存在して、左からメシュー(Messieurs)・メダム(Mesdames)・メドモアゼル(Mesdemoiselles)と変化します。このように相手の性別・結婚の有無・人数によって呼び方を変える必要があるフランス語に対して、日本語は「〇〇様」とオールマイティーに使えるので、非常に便利だなと感じた次第です。