マダム野武士の南仏生活

南仏からつれづれなるままに。

マダムとマドモアゼルの境 Suis-je Madame ou Mademoiselle ?

フランスに移住して以降、人から名字で呼ばれる機会は圧倒的に減ったのですが、役所や病院などの公的機関では、そこはやはり名字で呼ばれます。

 

日本にいた時は男女問わず、〇〇さん、もしくは〇〇様という敬称を使用するので性別や年齢を気にすることは全くなかったのですが、こちらに来てからある時はマダム、ある時はマドモアゼルと呼ばれ、呼ばれる度に自分の立ち位置を考えさせられます。

 

というのも、一般的には結婚していれば基本的にマダムという敬称になるので、書類上はマダムなのですが、果たして私はマダムという敬称がふさわしい、大人な女性になりきれいているのか、呼ばれる度に少し恥ずかしく感じます。どうも自分の中で「マダム=夫人」と脳内変換されるのが引っ掛かりを生んでいるように思います。

 

一方で、ムシュー・マダム・マドモアゼルは名前を知らない相手に対して呼びかける時にも使うのですが、アジア人の顔は幼く見えるのか、年上の方からはマドモアゼルと呼ばれることが多いです。日本にいた時はふてぶてしい態度からなのか、一度も実年齢より若い年齢を言ってもらったことがなかったので、その点はありがたく嬉しく受け止めています(笑)。

一説には「あなたは若く見えるよ」という配慮を込めて、あえてマドモアゼルと呼ぶムシュー達も多いようで、男性陣もなにかと気配りが大変そうだなと他人事のように思う時もあります。

 

余談ですが、ムシュー・マダム・マドモアゼルには複数形も存在して、左からメシュー(Messieurs)・メダム(Mesdames)・メドモアゼル(Mesdemoiselles)と変化します。このように相手の性別・結婚の有無・人数によって呼び方を変える必要があるフランス語に対して、日本語は「〇〇様」とオールマイティーに使えるので、非常に便利だなと感じた次第です。